若き起業家たちが語る「やってよかった」「やらなきゃよかった」

「起業」って、キラキラした成功物語ばかりが目につくけど、現実はどうなんだろう。

そう感じているあなたへ。

この場所では、実際に茨の道を歩んできた若き起業家たちの、生々しい本音をお届けします。

彼らが心から「やってよかった」と胸を張ること。
そして、ちょっぴり苦い顔で「あれは、やらなきゃよかったな…」と振り返ること。

この対比から見えてくるのは、教科書には載っていない、リアルな起業の姿です。

こんにちは、ライターの南野紗英です。
私自身、多くのスタートアップが生まれる瞬間の熱気に触れてきました。
起業家の言葉には、その人の生き様そのものが詰まっている。
そう感じています。

だからこそ、ここでは成功も失敗もひっくるめて、彼らの「本音」を、私の視点である共感と、時にZ世代ならではのフラットな鋭さで切り取っていきます。

この記事が、あなたの「一歩」を踏み出すための、小さな勇気やヒントになれば嬉しいです。

起業初期の「やってよかった」こと

新しい事業を立ち上げる。
その道のりは、まるで手探りで暗闇を進むようなものかもしれません。
でも、そんな中でも「これをやっておいて本当に良かった!」と、多くの先輩起業家たちが口を揃えるポイントがあります。

彼らの経験から、未来のあなたを照らすヒントを見つけていきましょう。

小さく始めて大きく育てた体験

「最初から完璧なものを作ろうとしなくていい」。
これは、多くの起業家が実感として語ることです。

例えば、あるフードデリバリーサービスを立ち上げたAさんは、最初はお弁当一つから、自分の足で配達を始めたと言います。
そこで得たお客様の「声」を元に、メニューやサービスを少しずつ改善。
まさに、MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)からスタートし、市場の反応を見ながら育てていくスタイルです。

また、和柄アクセサリーというニッチな市場から事業をスタートし、後に株式会社和心として着物レンタルなど多角的なビジネスへと拡大、ついには東証マザーズ(現グロース)への上場まで成し遂げた森智宏氏のような経営者の歩みも、最初は一軒家の一室を間借りした個人事業という、非常に小さな一歩から始まっています。

彼の独自の経営哲学や、時代を読み解きながら事業を成長させていった軌跡は、これから起業を目指す多くの方にとって、具体的な戦略やマインドセットを学ぶ上で大きな示唆を与えてくれるでしょう。

「完璧な計画よりも、まず動いてみること。
小さな成功体験を積み重ねることが、大きな自信と推進力に繋がりました。」

これは、初期投資を抑え、リスクを最小限にする賢明な戦略とも言えますね。

信頼できる仲間を選んだこと

「誰とやるか」は、「何をやるか」と同じくらい、いや、それ以上に重要かもしれません。

特に創業初期は、資金もリソースも限られています。
そんな時、同じ方向を向き、困難を分かち合える仲間がいることは、何よりの財産です。

あるITスタートアップの共同創業者Bさんは、こう語ります。

「スキルや経験も大事だけど、それ以上に価値観が合うか、そしてお互いをリスペクトできるか。
それが一番大切だと痛感しました。
夜中のバグ対応も、資金繰りの不安も、信頼できる仲間がいたから乗り越えられたんです。」

スキルセットが補完し合える関係はもちろん理想的ですが、それ以上に、ビジョンへの共感や人間的な信頼関係が、チームを強くするんですね。

早いうちからの情報発信・SNS活用

「自分たちのことを、もっと早くから発信しておけばよかった!」
これは、少し後悔を込めて語られる「やってよかったこと」の一つかもしれません。

現代において、SNSは強力な武器です。
創業者の想いやプロダクト開発の裏側、日々の小さな挑戦などを発信することで、共感が生まれ、ファンが育っていきます。

SNS活用のメリット

  • 低コストでの広報: 広告費をかけずに多くの人にリーチできる。
  • 顧客との直接対話: リアルなフィードバックを得やすい。
  • 採用への好影響: 企業のカルチャーに共感する人材が集まりやすい。
  • ブランディング: 創業者の顔が見えることで信頼感が増す。

あるアパレルブランドを立ち上げたCさんは、インスタグラムで自身のブランドへの想いや製作過程を発信し続け、多くのファンを獲得しました。
「お客様が、私たちのストーリーごと好きになってくれるんです」と彼女は言います。

飾らない言葉で、自分たちの「今」を伝えること。
それが、未来の顧客や仲間との出会いに繋がるのです。

恐れずにピッチイベントに出た経験

「人前で話すのは苦手だったけど、勇気を出してピッチイベントに出て本当に良かった」。

多くの起業家にとって、ピッチイベントは事業を飛躍させる大きなチャンスとなり得ます。
投資家やメンターとの出会いはもちろん、自社のビジネスモデルを客観的に見つめ直す良い機会にもなります。

ピッチイベント参加の主なメリット

メリット項目詳細
資金調達の機会投資家に対して直接プレゼンテーションできる。
メンターシップ経験豊富な経営者や専門家からアドバイスを得られる可能性がある。
事業検証第三者からの質問やフィードバックで、アイデアの強度や課題が明確になる。
ネットワーキング他の起業家や支援者との繋がりができる。
PR効果メディアに取り上げられたり、業界内での認知度が向上したりすることがある。

Dさんは、ある地方開催のピッチイベントで優勝したことをきっかけに、全国的な注目を集め、事業拡大に成功しました。
「あの時の経験がなければ、今の自分たちはいなかった」と彼は振り返ります。

少しの勇気が、大きな扉を開くことがあるんですね。

起業初期の「やらなきゃよかった」こと

挑戦に失敗はつきもの。
でも、できれば避けたい「落とし穴」もありますよね。
ここでは、先輩起業家たちが「あれは、ちょっと失敗だったな…」と、今だからこそ笑って話せる(かもしれない)経験談を覗いてみましょう。

これらの教訓が、あなたの道のりを少しでもスムーズにする手助けになれば幸いです。

完璧主義に陥ったプロダクト開発

「もっと良いものを、もっと完璧な状態でお届けしたい!」
その想いは素晴らしいけれど、時としてそれが大きな足かせになることも。

あるアプリ開発会社のEさんは、最初のプロダクトリリースまでに2年もかけてしまいました。
市場のニーズは刻一刻と変化します。
ようやくリリースした時には、競合サービスがいくつも登場し、ユーザーの関心も移ろいでいたのです。

「ユーザーの声を聞かずに、自分たちの理想ばかり追いかけてしまった。
もっと早く市場に出して、フィードバックをもらいながら改善していくべきでした。」

完璧を求めすぎることのデメリット

  • 市場投入の遅れによる機会損失
  • 開発コストの増大
  • 初期ユーザーからの貴重なフィードバックを得られない

まずは「最低限の価値」を提供できる形でリリースし、ユーザーと共に育てていく。
その柔軟性が、変化の速い現代では特に重要なのかもしれません。

間違ったメンター選びの落とし穴

「すごい経歴の人だから」「有名な起業家だから」という理由だけでメンターを選んでしまうと、思わぬ方向に進んでしまうことがあります。

Fさんは、ある著名な経営者にメンターについてもらいましたが、そのアドバイスが自社のフェーズや業界特性と合わず、かえって混乱してしまった経験があるそうです。

「メンター自身の成功体験が、必ずしも自分たちに当てはまるとは限らない。
自分たちの事業を本当に理解し、寄り添ってくれる人を見つけるべきでした。」

メンター選びで気をつけたいポイントは以下の通りです。

1. 専門性と経験のマッチング
* 自社の業界やビジネスモデルに詳しいか。
* 現在の事業フェーズ(シード期、アーリー期など)で適切なアドバイスができるか。
2. コミュニケーションの相性
* 話しやすいか、質問しやすいか。
* 厳しい意見も、愛を持って伝えてくれるか。
3. 価値観の共有
* 事業を通して実現したい世界観に共感してくれるか。

メンターは、あなたの旅の伴走者。
肩書きだけでなく、人としての相性や、事業への理解度をしっかり見極めたいですね。

他人の成功モデルをそのまま真似した結果

「あの会社が成功したんだから、うちも同じようにやればうまくいくはず!」
そう考えて、他社のビジネスモデルやマーケティング戦略をそっくりそのまま真似しようとして、うまくいかなかった…という話もよく聞きます。

Gさんは、競合の成功事例を徹底的に分析し、それを自社に導入しようとしました。
しかし、結果は芳しくありませんでした。

「表面的な戦術だけを真似してもダメなんですよね。
その成功の裏にある独自の強みや、市場環境、タイミングといった要素を見落としていました。」

他社の事例を学ぶことは非常に重要ですが、それを鵜呑みにするのではなく、

  • なぜその戦略が成功したのか?
  • 自社のリソースや状況に置き換えた場合、どう応用できるか?
  • 自分たちならではの価値をどう加えるか?
    といった視点で、深く分析し、自社流にアレンジすることが大切です。

広告に過剰投資してしまった失敗談

「とにかく多くの人に知ってもらいたい!」という一心で、プロダクトやサービスがまだ十分に固まっていない段階で、多額の広告費を投じてしまうケース。

Hさんは、サービスのベータ版ができたばかりのタイミングで、大規模なウェブ広告を展開しました。
一時的にアクセスは増えましたが、サービス自体の使い勝手が悪かったり、顧客サポート体制が整っていなかったりしたため、ほとんどのユーザーが離脱してしまいました。

「焦って広告を打つ前に、まずはプロダクトを磨き込み、熱狂的な初期ファンを作ることにもっと注力すべきでした。
穴の空いたバケツに水を注ぐようなものでしたね。」

広告はあくまで「手段」の一つ。
誰に、何を伝え、どんな行動を促したいのか。
その目的を明確にし、適切なタイミングとチャネルを選ぶことが重要です。
特に初期は、費用対効果を慎重に見極める必要があります。

迷いと決断の狭間で

起業の道は、常に選択の連続。
時には、どちらに進むべきか分からず、深い霧の中で立ち尽くすような感覚に陥ることもあるでしょう。
そんな「迷い」とどう向き合い、自分なりの「決断」を下していくのか。
先輩たちの経験から、そのヒントを探ります。

「自分軸」の見つけ方

情報が溢れ、他人の成功が眩しく見える現代。
そんな中で、「自分は何を大切にし、どこへ向かいたいのか」という「自分軸」を見失いそうになる瞬間は誰にでもあるはずです。

では、どうすれば確かな「自分軸」を育むことができるのでしょうか。

自分軸を育むヒント

  • 原点回帰: なぜこの事業を始めようと思ったのか?最初の情熱を思い出す。
  • 価値観の言語化: 自分にとって譲れないものは何か、大切にしたい価値観は何かを書き出してみる。
  • 小さな「好き」を重ねる: 日々の業務の中で、自分が心から「楽しい」「やりがいがある」と感じる瞬間を意識する。
  • 内省の時間: 忙しい中でも、意識的に一人で深く考える時間を持つ。日記を書くのも良いでしょう。
  • 信頼できる人との対話: 自分の考えを言葉にして誰かに話すことで、思考が整理される。

「周りがどう言おうと、自分はこれを信じる」
そう思える何かを見つける旅は、起業家にとって永遠のテーマかもしれません。

社会的評価と自己納得のジレンマ

「いいね!」の数やメディア掲載、売上数字…。
起業家は、常に社会からの評価にさらされます。
もちろん、それらは事業成長の大切な指標であり、モチベーションにも繋がります。

しかし、その一方で、「本当に自分がやりたかったことはこれだっけ?」と、内なる声との間で揺れ動くことも。

あるサービスを運営するIさんは、事業が軌道に乗り、周囲からの評価も高まっていた時期に、大きな虚無感に襲われたと言います。
「数字は伸びている。でも、心が満たされない。何かが違う、と」。

このジレンマを乗り越えるためには、
1. 自分なりの「成功の定義」を持つこと。
* 売上や規模だけでなく、社会への貢献度や自己成長、チームの幸福度など、多角的な視点で成功を捉える。
2. 短期的な評価に一喜一憂しすぎないこと。
* 長期的なビジョンを見据え、目先の評価に振り回されない。
3. 自分の「好き」や「情熱」を信じ抜くこと。
* たとえ今は評価されなくても、自分が心から価値を感じることに取り組み続ける勇気。

社会的評価と自己納得。
そのバランスをどう取るかは、一人ひとり答えが違う、難しい問いですね。

誰にも言えなかったプレッシャーとの付き合い方

資金繰りの不安、事業の将来への責任、従業員の生活…。
起業家は、想像を絶するほどのプレッシャーを抱えています。
そして、その多くは「誰にも言えない」孤独な戦いだったりします。

「弱音を吐いたら、チームの士気が下がるんじゃないか」
「相談したところで、解決するわけじゃないし…」

そんな風に一人で抱え込んでしまう起業家は少なくありません。

しかし、プレッシャーと上手に付き合っていくためには、適切なガス抜きやサポートが不可欠です。

プレッシャーとの付き合い方

  • 信頼できる相談相手を見つける: 家族、友人、メンター、同じ境遇の起業家仲間など。
  • 意識的な休息: どんなに忙しくても、心と体を休める時間を確保する。趣味や運動も効果的。
  • 小さな成功体験の積み重ね: 日々の目標をクリアしていくことで、自己効力感を高める。
  • 専門家のサポート: 必要であれば、カウンセラーやコーチなどの専門家の力を借りることも選択肢に入れる。
  • 情報遮断の時間: SNSやニュースから離れ、デジタルデトックスをする時間を作る。

「大丈夫、一人じゃないよ」。
そう思える環境を作ることが、長く走り続けるためには大切なのかもしれません。

今、伝えたいこと——起業を考えるあなたへ

ここまで、若き起業家たちのリアルな「やってよかったこと」「やらなきゃよかったこと」を見てきました。
成功も失敗も、すべてが彼らの血肉となり、今の姿を形作っています。

最後に、これから起業という未知の海へ漕ぎ出そうとしているあなたへ、彼らの経験から紡ぎ出されたメッセージを贈ります。

後悔もまた「資産」になる

「あの時、ああすればよかった…」
起業していれば、そんな後悔の一つや二つ、いや、もっとたくさん経験するかもしれません。

でも、覚えておいてほしいのは、その後悔すらも、未来のあなたにとってはかけがえのない「資産」になるということです。

失敗から学ぶ教訓は、どんな成功体験よりも深く、強く、あなたを成長させてくれます。
大切なのは、失敗を恐れて立ち止まることではなく、失敗から何を学び、次にどう活かすか。

挑戦したからこそ味わえる後悔は、何もしなかった後悔よりも、ずっと価値があるはずです。
そう思いませんか? 😉

若さゆえの無謀さと、それを超える熱量

「若いから経験がない」「実績がないから相手にされない」
そんな風に、自分の「若さ」をネガティブに捉えてしまうこともあるかもしれません。

でも、若さには、それを補って余りあるほどの特権があります。
それは、失敗を恐れない「無謀さ」と、常識を打ち破るほどの「熱量」です。

経験豊富なベテランにはない、斬新なアイデア。
失うものを恐れず、果敢にリスクを取れる行動力。
そして、「この事業で世界を変えたい!」という純粋で強烈なパッション。

それらは、時にどんな経験や実績よりも強力な武器となり、周囲を巻き込み、不可能を可能にする力を持っています。
あなたのその熱量は、誰にも真似できない、あなただけのものです。

「失敗談を笑える日」は必ず来る

今、目の前の壁が高く見えて、不安で押しつぶされそうになっているかもしれません。
「こんなに大変なら、やらなきゃよかった…」と、心が折れそうになる日もあるでしょう。

でも、信じてください。
あなたが諦めずに、一歩一歩、誠実に事業と向き合い続ければ、いつか必ず、今の苦労や失敗談を笑って話せる日が来ます

そして、その経験談は、かつてのあなたと同じように悩んでいる誰かの背中を、そっと押してあげる力になるはずです。

多くの先輩起業家たちが、そうであったように。

まとめ

さて、若き起業家たちのリアルな声、いかがでしたか?

キラキラした成功物語の裏には、数えきれないほどの試行錯誤と、時には涙もあったことでしょう。
起業のリアルは、「成功話」だけでは決して語り尽くせません。

「やってよかった」という輝かしい経験も、「やらなきゃよかった」というちょっぴり苦い経験も、その両方に大きな意味があります。
どちらも、彼らを成長させ、次のステージへと導くための大切なピースなのです。

そして、この記事を読んでくださったあなたの心に、もし何か一つでも響くものがあったなら。
それは、あなた自身が持つ「起業家精神」の表れかもしれません。

あなたの一歩にも、必ず価値があります。
その歩みは、誰かの真似である必要はありません。
あなただけの物語を、ぜひ紡いでいってください。

応援しています!✨