パンスト

パンストの歴史と日本での流行

パンストは和製英語のパンティストッキングの略称として呼ばれており、日本ではストッキング全般を指しているケースが多くなっています。

その他にも厚手の物をタイツと呼んでいますが、主に防寒用途として冬場などに着用するシーンを想定している事に加えて、近年では靴下類の全般的な総称を指すホーザリーや、透けるという意味合いを持ったシアータイツという呼び名で販売されている事も見受けられます。

 

パンストの特徴

このパンティストッキングはポリウレタンとナイロンで作られているのが特徴で、伸縮性が優れたポリウレタンの機能と透明性があるナイロンの特徴を活かした製品となっています。

厚さを示す単位はデニールが用いられており、これは糸の太さをあらわすものです。
デニールはグラム単位で9000メートルの糸の重さを表現したもので、例えば9000メートル分で10グラムという場合では10デニールという形であらわします。

パンティストッキングの編み方を見てみますと、一般的にはゾッキ編みと交編が挙げられます。
ゾッキ編みはポリウレタンのみでメリヤス編みする事が特徴で、編み目が細かく詰まっているために優れた履き心地となるのがメリットです。
一方の交編はナイロンとポリウレタンの糸を使用し、交互にメリヤス編みをしていく事が特徴です。
この交編はナイロンを使用しているために、非常に光を通しやすくツヤと透明感が出やすいというメリットがあります。

近年のパンストはいくつもの付加価値が付けられているタイプも登場しており、消臭加工やUV加工という製品も一般的になりつつあります。
また伝線を防止するためのノンラン加工という物もあり、これは糸の交わる点を高温で溶かし、糸を接着する事によって伝線がおこりにくくなるという製法となっています。

 

パンストの歴史

パンティストッキングの歴史を振り返ると、世界で初めて販売されたのは1963年のアメリカになります。
発売されるとアメリカの女性に流行となりますが、当時はまだ高級品という側面が高く世界中に広まるという事には至りませんでした。

日本においても当然輸入品に頼る事になりますので、高額となることはもちろんの事まだ希少性が高かったため、一般的な広まりはなかったと言えます。
そして日本で最初にパンストの製造に着手したのが1968年の厚木ナイロン工業です。

現在はアツギとして運営しているこの会社は、創業者が当時アメリカから入手したパンティストッキングを元にして研究と開発を進めています。
その開発の成果が1968年の発売に繋がり、初めての国産パンティストッキングとして主流となっていきました。パンスト動画

 

日本におけるストッキング文化

国産品という事で一般の女性にも広く購入されていき、大流行となるほどの浸透を見せていきます。
パンティストッキングが広まる以前の日本では、ストッキングという製品自体は1952年には既に発売されていました。

この時のストッキングという商品は、シームラインが入った製品となっていましたので縫い目がほどけやすいなどのデメリットがあった事が特徴です。
その後の1961年前後にはシームレスストッキングの文化が定着していきましたので、パンティストッキングを受け入れる背景にもなっていたと言えるでしょう。

そして1968年のパンスト発売においてはその着用感とデザイン性などが大きく受け入れられ、女性にとっては主流と言える程定着していきます。
販売当初はいくぶん高級品であった事と、伝線しやすいというデメリットもまだあったため、専門の修理業者がいたほどだったようです。

しかし年々研究が進められながらも急速な進化を見せていたのが特徴で、劣化の少ない商品が大量生産されるようになりました。

 

パンストミニスカが大流行した80年代

同時期に日本ではミニスカートの流行という文化があったのもパンティストッキングの普及に大きく関係しています。
当時はガーターで固定してストッキングを着用するというケースが多く、ミニスカートには対応できないというのがデメリットでもありました。

しかしパンティストッキングであれば、ガーター無しで着用できますのでミニスカートにも対応可能となり、流行となる後押しとなったようです。

発売当初のパンティストッキングは下着を履かずにそのまま履く事を想定されて発売されたようですが、消費者の抵抗感などもあり自然と下着の上に着用するというスタイルが広まっていたのが特徴です。
そうして一般的に広く普及していったのですが、1990年代を境に徐々に着用者が減少していったという流れがありました。

 

2012年あたりからはタイツのブームが到来

それはいわゆる生脚や美脚ブームが背景にあるともされており、冠婚葬祭などの場面などで着用するのが主流となるような時期もありました。
このように正装のシーンでの着用が主となった時代がありながらも、2012年あたりからはタイツのブームが到来しているのが見逃せません。
このタイツブームも手伝ってパンストを着用する女性たちが再び増加しており、ファッション的な注目度も再燃しているのが近年の動きと言えるでしょう。

パンスト研究所より一部引用